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かつてコンピュータ業界では無敵だったマイクロソフトが、いま優秀な人材の流出に悩まされている。彼らは古巣で何を学び、なぜ辞めたのか──。元社員が巨大企業の内幕を語る。
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かつてコンピュータ業界では無敵だったマイクロソフトが、いま優秀な人材の流出に悩まされている。彼らは古巣で何を学び、なぜ辞めたのか──。元社員が巨大企業の内幕を語る。 1997年早々、31歳のマイクロソフト幹部デイビッド・リシャーは上司に、アマゾン・ドットコムという新興企業に移るので辞めたいと打ち明けてきた。ハーバード・ビジネスクール出のリシャーは、際立って有能な人材がひしめくマイクロソフトの職場環境に不満はなかった。驚くほどの権限が与えられ、予想以上の報酬も得ていた。だから上司のピート・ヒギンズにとっては、リシャーからちっぽけな新興企業に自分の能力を託したいと聞かされ、青天の霹靂の思いだった。ビル・ゲイツやスティーブ・バルマーも慰留に努めたが徒労に終わる。両トップは、リシャーの退職動機が「他所に魅力を感じた」という点にショックを隠し切れなかった。 リシャーが去った翌年ぐらいからぽつりぽつりと社員が辞めはじめ、インターネット企業に流れていった。 そして今や、その滴りは洪水となった。辞職組には同社のスタークラスも含まれる──リシャーの上司だった当のヒギンズや、マイクロソフトの独禁法違反訴訟で陣頭指揮に当たったトッド・ニールセン副社長など。 辞めていった社員にほぼ共通するのはリシャーのようなタイプだ。頭脳明晰で、「世界を変えたい」という野心溢れる20〜30代の中堅幹部で、ストックオプションにより莫大な富を得た人々である。 人材の流出について、マイクロソフト側では一応平静を装っている。同社の「自発的人員減率」は「業界平均の半分」らしい。現在、同社の社員数が約3万5000人だから、毎週約50人が退職している勘定になる。しかし、100〜150人が毎週辞めているはずだと言う者もいる。 とはいえ、退職した人々は皆、マイクロソフト在職時代に誇りを感じている。と同時に、辞めたことに後悔する者もいない。 元マイクロソフト社員のジョージ・スネリングらが1年前に創設したホストベース開発プラットホームのWestside.com は、従業員35人の小世帯だが、その社風はあくまでもマイクロソフト流である。社員の三分の一がマイクロソフト出身、顧問の多くも元マイクロソフト関係者だ。創業資金も在職中のストックオプション制度の恩恵を存分に受けている。 マイクロソフトへの高い評価は、最近の退職組の間で一致している。例えばWestside.com の創設者たちは、マイクロソフトが現在もコンピュータ科学の人材の宝庫であり、今後も影響力を持ち続けるものと信じている。同社の対ライバル企業戦略は天下一品、と賛辞を惜しまない。 それほど偉大で卓越した会社なら、どうして社内に留まって技術開発を続けないのか。 「社内ではそのメリットが見いだせなかった」とスネリングは明かす。マイクロソフトでは、ゲイツやバルマーに自分のアイデアが戦略上有益であることを実証するうえで膨大な手続きと難関が控えているのだ。マイクロソフトは数千人ものソフト開発者を動員するような巨大プロジェクトへの取り組みには非常に優れているが、インターネット市場にかかわる臨機応変なソフトウエア作りという点では機動性に欠ける。 「インターネットの世界では、むしろ我々のような小企業のほうが有利だ」とスネリングは考えている。結局、彼らはアイデアが実現するまでの時間を可能な限り短くしたいのだ。事実、そのギャップは小企業のほうがはるかに短い。 要するに、マイクロソフトはあまりにも巨大化し、官僚主義化してしまったということである。 マイクロソフトで最年少(当時31歳)の副社長だったサム・ジャダラーはこう語る。
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